TECHNOLOGY
技術資料
フッ素樹脂の特徴と性質
フッ素樹脂は殆どの化学薬品、溶剤に不活性です。
フッ素樹脂の耐薬品性をテストした代表的な化学薬品をその沸点に至るまで侵漬テストを行った上で科学的に不活性であることが確認されております。
フッ素樹脂(PFA)の耐薬品性浸漬テスト - 無機化合物
★は沸点(注)特性の変化15%以内は無視しうる程度と考えられます。
通常の使用温度範囲内では、フッ素樹脂が浸される薬品は殆どないとみられます。しかし例外もあります。このような薬品は最も厳しい酸化性試薬、還元性試薬の中にあることが知られています。
○溶融状態にて反応するアルカリ金属(ナトリウム、カリウム、リチウム等)や高温でのフッ素ガス(F2)、及びCIF3、OF2(これらは高温状態で、活性のフッ素ガスを出す特殊な化合物です)とは反応します。
○連続使用温度の上限値、あるいはその付近でかつ高温熱になると、フッ素樹脂と反応する薬品も少数ですが存在します。
●80%KOH、B2H6のような金属水素化合物やアンモニア等も、溶融金属ナトリウムと同様な腐食作用があります。フッ素樹脂の薬品吸収性は小さいですが特定の環境下では、この吸収がフッ素樹脂に物理的な影響を及ぼす場合もあります。
○水蒸気使用時のブリスター
フッ素樹脂は耐久性が優れているので、スチームを取り扱う場合のライナーとして、しばしば使用されます。
●ブリスターとは
ブリスター(水泡)現象は高圧の蒸気と、低圧の蒸気冷水に交互に暴露される時にしばしば起こる現象です。先ず少量の高圧蒸気がライナーに浸透します。次に冷水を通すとその蒸気は凝縮した水となります。高圧蒸気が再度導入されると、その熱でライナー内の水が蒸気となり、その圧力で最初の微小の孔が出来ます。このような熱サイクルが繰り返されると、この孔は次第に大きくなり最初に目視出来る水泡が生じます。これをブリスターと呼んでいます。
○モノマーの浸透
塩化ビニル、スチレン、ブタジェン等のモノマーもフッ素樹脂に浸透します。浸透したモノマーがフッ素樹脂の中で重合すると、重合熱が発生し、さらに重合速度が速くなります。次々と浸透したモノマーがフッ素樹脂内部でポリマーとなると、その体積が増加し、ついには破壊を起こします。また、フッ素樹脂の表面にもポリマーが現れるようになります。