TECHNOLOGY
技術資料
ヒーターの選び方
1.耐薬品性(材質)の選定
ヒーター材質選定の基本ステップ
1.pH値の確認
●pH値によって推奨される材質が異なります。
●酸性浴 (pH < 7): 主に石英(耐酸性に優れる)。
●アルカリ浴 (pH > 7): 主にステンレス(耐アルカリ性に適応)。
2.使用温度の確認
●使用温度が80℃以上の場合、一部の材質は高温での耐性が劣るため、選定に注意が必要です。
3.薬品の粘度・付着性
●高粘度薬品やスラッジが付着しやすい薬品
●ヒーター表面へのダメージや性能低下を防ぐため、選定可能な材質が限られます。
4.耐薬品性の確認
●腐食の可能性がある場合
●石英やステンレスが腐食される場合、チタンやフッ素樹脂の使用を検討します。
耐薬品性は、対応マトリックス表を参照して確認をお願いします。
対応マトリックス
●検討の際は、このデータを目安としてお考えください。
●薬品の化合状態で適性値が変わります。
添加剤などの影響によるヒーターの故障に関しては、弊社では責任を負いかねますのでご了承ください。
※消耗品として使用すること
※1 過水・硫酸タイプ
※2 フッ化物含有液
2.ヒーター形状およびキャップ形状の選定
ヒーター形状【ストレート型・短尺】
タンクの高さが規格品寸法に近く、液面の上下が少ない場合
キャップ形状【スタンダード】
防水性はありません。キャップ部から液が侵入する恐れがありますので水気・湿気の多い場所での使用は推奨できません。
キャップ形状【横出しキャップ式】
コードが横に出ているためキャリア等の処理物の移動時に邪魔になりません。
※横出しの防水仕様はありませんのでご注意ください。
キャップ形状【キャップシール式(簡易防水)】
簡易防水式ですので水気・湿気の多い揚所での使用に推奨します。
※完全防水ではありませんのでご注意ください。
ヒーター形状【L型・潜水型】
液面の高さが低い場合
キャップ形状【スタンダード】※L型
防水性はありません。キャップ部から液が侵入する恐れがありますので水気・湿気の多い場所での使用は推奨できません。
キャップ形状【横出しキャップ式】※L型
コードが横に出ているためキャリア等の処理物の移動時に邪魔になりません。
※横出しの防水仕様はありませんのでご注意ください。
キャップ形状【キャップシール式(簡易防水)】※L型
簡易防水式ですので水気・湿気の多い揚所での使用に推奨します。
※完全防水ではありませんのでご注意ください。
キャップ形状【潜水式】※潜水型
液中に沈めて使用できます。
完全防水仕様
※液面から露出しての使用はできません。
ヒーター形状【長尺】
タンクの高さが高く液面が低い場合
キャップ形状【スタンダード】
防水性はありません。キャップ部から液が侵入する恐れがありますので水気・湿気の多い場所での使用は推奨できません。
キャップ形状【横出しキャップ式】
コードが横に出ているためキャリア等の処理物の移動時に邪魔になりません。
※横出しの防水仕様はありませんのでご注意ください。
キャップ形状【キャップシール式(簡易防水)】
簡易防水式ですので水気・湿気の多い揚所での使用に推奨します。
※完全防水ではありませんのでご注意ください。
横付(プラグ・フランジ)
ヒーターを上から設置できない場合
ケーブルを槽の上に出したくない場合
※受側のソケット及びフランジなど、別途工事が必要になります。
3.ヒーターの容量&本数
【ヒーターの電気容量算出】
ヒーターの容量と本数を決めるために、加熱に必要な電気容量を以下の計算式で求めます。
下の式に使用条件をあてはめて加熱に必要な電気容量を計算してください。
W=0.278 × C × d × V × ⊿t × 1.3(余裕率)
各項目の説明
・W:電気容量(Wh)
・0.278:KJをWhに変換する係数。【1(J)=1(Ws):3600(J)=1(Wh):1(kJ)=1÷3.6≒0.278(Wh)】
・C:⽐熱(kJ/kg℃)
・V:体積(ℓ)
・d:⽐重(kg/ℓ)
・⊿t:⽬的温度-初期温度
・1.3:余裕率
※⽐熱が不明の場合は4.184を、比重が不明の場合は1を使用して計算してください。
計算のポイント
式の結果で求められる「W」の単位は「ワットアワー(Wh)」です。
単位を「キロワットアワー(kWh)」に変換する際は、÷ 1000を行ってください。
※求めた電気容量は、1時間で⽬的温度に到達させるのに必要な電気容量です。
計算式の例
例えば、体積が50ℓの液体を初期温度20℃から目的温度60℃まで加熱する場合:
・比熱(C):4.184
・比重(d):1
・体積(V):50
・温度差(⊿t):60℃ ー 20℃ = 40℃
計算式に当てはめると:
W=0.278×4.184×1×50×40×1.3
W=3024(Wh)
この値をkWhに換算すると、約3kWhが必要な電気容量となります。
【ヒーターの本数】
計算した電気容量をもとに、ヒーターを設置する際の設置スペースや昇温時間などの条件を考慮して、最適な本数を選定します。例えば、必要なヒーター容量が30kWhと算出された場合、以下のような方法で本数を決定します。
①3kWのヒーターを10本使用する(合計30kW)
1時間での昇温が必要な場合です。
②3kWのヒーターを5本使用する(合計15kW)
昇温時間を2時間に延ばし、スペースやコストを抑える方法です。
③3kWのヒーターを1本使用する
昇温時間を10時間とし、最小限の設備で対応する方法です。
注意事項
上記のヒーター容量や昇温時間は理論値であり、実際の使用環境や条件によって変動する場合があります。最適な選定には具体的な条件を確認することが必要です。詳細については、ページ右下のお問い合わせフォームからお気軽にお問い合わせください。
4.プラグの形状およびコード長
【プラグの形状】
●プラグはヒーター容量や使用電圧(海外等)により形状が異なる場合があります。
●プラグ形状は、ご注文前に必ずユーザー様へ確認してください。
●防水プラグ及びツイストロック式プラグは別注となります。
●その他特殊形状は、下記のプラグ一覧表をご参照下さい。
弊社指定標準プラグ一覧/㈱明工社・パナソニック電工㈱製
オプション対応特殊プラグ一覧
(ユーザーニーズにお応えできる豊富なラインナップ・ご相談によりご希望のプラグをお付け致します。)
【コード長】
必要に応じてコード長を延長あるいは短縮が可能です。規格のコード長はそれぞれの製品のページを確認してください。
型番の見方
ヒーター取扱い上の注意
【ヒーターの持ち運び】
●ヒーター内部には、ニクロム線がスパイラル(螺旋)状に内蔵されていますので移動の際の振動・衝撃に非常にデリケートで、外見から判断できない断線などを起こす場合があります。
万一内部断線を起こしていると通電時に発熱しない状態やショートで破裂する危険性があります。
●ヒーターを梱包する際には、振動・衝撃から守るように梱包し、必ず注意表示を行ってください。
●石英ヒーター以外のほとんどの製品でも内部にガラス部品を使用していますので、些細な衝撃で破損する恐れがあります。持ち運びや設置の際は十分に注意してください。
●ヒーターを手で持つ際は、完全にさめた状態で本体(ヒーター管)を持ってください。絶対にキャップ部、コード部のみをつかみ、持ち上げないでください。
【ヒーターの設置】
●ヒーターを設置する際には、発熱部が露出しないように適正水位に注意してください。
【ヒーターのお手入れ】
●スラッジやヒーター管に付着した薬品化合物により内部の異常加熱が発生します。
●付着物がある場合は、スポンジなどの柔らかいもので洗浄して落としてください。
●ヒーター管の付着物の除去・洗浄の際は、金属の スクレーパー・ワイヤーブラシ・ヤスリなどの硬いものは使用しないでください。