TECHNOLOGY
技術資料
ヒーターの選び方
【型番の見方】
1.耐薬品性(材質)の選定&ヒーター形状の選定
【耐薬品性(材質)の選定】
薬品の性質からヒーターの材質を選定します。
(加熱する薬品によってヒーターの材質が異なります。)
●pH(ペーハー)
一般的に上図のように薬品のpH値によって選定するヒーターの材質が異なります。
●使用温度
80℃以上で使用の場合は、材質選定に制限があります。
●粘度
粘度が高い薬品やスラッジの付着が著しい場合は、材質選定に制限があります。
【ヒーター形状の選定】
ストレート型
タンクの高さが規格品寸法に近く、液面の上下が少ない場合
L型
液面の高さが低い場合
長尺・短尺
タンクの高さが高く液面が低い場合
横付(プラグ・フランジ)
ヒーターを上から設置できない場合
ケーブルを槽の上に出したくない場合
※受側のソケット及びフランジなど、別途工事が必要になります。
2.キャップ形状の選定
スタンダード
防水性はありません。キャップ部から液が侵入する恐れがありますので水気・湿気の多い場所での使用は推奨できません。
横出しキャップ式
コードが横に出ているためキャリア等の処理物の移動時に邪魔になりません。
※横出しの防水仕様はありませんのでご注意ください。
キャップシール式
簡易防水式ですので水気・湿気の多い揚所での使用に推奨します。
※完全防水ではありませんのでご注意ください。
潜水式
液中に沈めて使用できます。
完全防水仕様
※液面から露出しての使用はできません。
3.ヒーターの容量&本数
【ヒーターの容量算出】
下の式に使用条件をあてはめて加熱に必要な電気容量を求めます。
W=1.16 × C × d × V × ⊿t × 1.3(余裕率)
C=⽐熱(kcal/kg℃) V=体積(ℓ)
d=⽐重(kg/ℓ) ⊿t=⽬的温度-初期温度
【1(Kcal)=1000(W)÷860(Kcal)=1.16】
※⽐熱・⽐重が不明の場合は1として計算してください。
WからkWに換算する。
上式での電気容量は、WなのでkWに換算する場合(÷1000)をする。
※kWは、1時間で⽬的温度に到達させるのに必要な電気容量です。
【ヒーターの本数】
設置スペース・昇温時間などを考慮してヒーターの本数を決定します。
例えば、ヒーターの選定で30kWが算出された場合。
30kWというヒーターはスペース的にも現実的ではありません。
この場合下記のような⽅法でヒーターの本数を決定します。
(1)3kWのヒーターを10本使⽤する。
(2)3kWのヒーターを5本使⽤して(正味15kW)昇温時間を2時間とする。
(3)3kWのヒーターを1本使⽤して昇温時間を10時間とする。
※上記ヒーター容量の計算値はあくまで理論値であり、実際は使⽤環境により変化します。ご参考値として検討してください。詳しくは弊社営業部までお問合せください。
4.プラグの形状
【プラグの形状】
●プラグはヒーター容量や使用電圧(海外等)により形状が異なる場合があります。
●プラグ形状は、ご注文前に必ずユーザー様へ確認してください。
●防水プラグ及びツイストロック式プラグは別注となります。
●その他特殊形状は、下記のプラグ一覧表をご参照下さい。
弊社指定標準プラグ一覧/㈱明工社・パナソニック電工㈱製
オプション対応特殊プラグ一覧
(ユーザーニーズにお応えできる豊富なラインナップ・ご相談によりご希望のプラグをお付け致します。)
対応マトリックス
●検討の際は、このデータを目安としてお考えください。
●薬品の化合状態で適性値が変わります。
(添加剤などの影響によるヒーターの故障に関しては、弊社では責任を負いかねますのでご了承ください。
ヒーター取扱い上の注意
【ヒーターの持ち運び】
●ヒーター内部には、ニクロム線がスパイラル(螺旋)状に内蔵されていますので移動の際の振動・衝撃に非常にデリケートで、外見から判断できない断線などを起こす場合があります。
万一内部断線を起こしていると通電時に発熱しない状態やショートで破裂する危険性があります。
●ヒーターを梱包する際には、振動・衝撃から守るように梱包し、必ず注意表示を行ってください。
●石英ヒーター以外のほとんどの製品でも内部にガラス部品を使用していますので、些細な衝撃で破損する恐れがあります。持ち運びや設置の際は十分に注意してください。
●ヒーターを手で持つ際は、完全にさめた状態で本体(ヒーター管)を持ってください。絶対にキャップ部、コード部のみをつかみ、持ち上げないでください。
【ヒーターの設置】
●ヒーターを設置する際には、発熱部が露出しないように適正水位に注意してください。
【ヒーターのお手入れ】
●スラッジやヒーター管に付着した薬品化合物により内部の異常加熱が発生します。
●付着物がある場合は、スポンジなどの柔らかいもので洗浄して落としてください。
●ヒーター管の付着物の除去・洗浄の際は、金属の スクレーパー・ワイヤーブラシ・ヤスリなどの硬いものは使用しないでください。